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今日の退職の瞬間は、社内システムエンジニア wnky さんの退職の瞬間です。
退職時の状況
年齢:20代 性別:女性 退職時の肩書き: 社内SE 退職時の年収: 480万 現場:日系機械メーカー 販売管理管理システム
目次
1:販売管理システムプロジェクトの立ち上げ
2:まとまらない要望・開発要件
3:この記事にたどり着いた方へ
目次
1:販売管理システムプロジェクトの立ち上げ
私は、当時20代半ばに差し掛かった頃の社内SEとして、日系機械メーカーの販売管理システム再構築プロジェクトメンバーとして働いていました。 もともと販売管理システムは、インフラの老朽化が進んでしまったため、 ・他社ツールへの丸ごと移行か → 機能再構築しない。現状の機能に業務を適合させる。 ・業務自体の刷新もかねて再構築するか → 機能再構築する。再構築した業務にシステムを合わせる。 を迫られており、 後者が選ばれ、某有名ERP※の導入が決まりました。 ※ERP OBIC7など、会社情報に必要な経営・販売・労務のデータを経営データ一元管理するシステム。 当時(2000年代)は、顧客要望を丸ごと飲み込み、 顧客要望に沿ってシステムを作り替える、日本式のシステム開発手法が主流でした。 (ウォーターフォール式※と呼ばれる手法です。) ※ウォーターフォール式 作業工程(局面、フェーズ)にトップダウンで分割する。線表(ガントチャート)を使用してこれらの工程を一度で終わらせる計画を立て進捗管理をする。 原則として前工程が完了しないと次工程に進まない。((出典 Wikipedia ) 今ではようやく理解されていますが、 ウォーターフォール開発は、スピード感がなく、出来上がった頃には、 世界レベルとかけ離れた遅れたシステムになります。 当時、日本のシステム開発で遅れた手法がとられていた背景に、 お客様は神様、ただし、責任は回避をする、という、日本的な思想がありました。 そのため、ERPの会社は、私たち社内システム部署に、 下記の通り、伝えてきました。 「要望をまとめてください。」 「要望をまとめた上で、開発要件を実施します。」 「開発要件がまとまるまで、開発はできません。」
2:まとまらない要望・開発要件
要件定義から導入まで1年の予定でプロジェクトが始まりましたが、 営業・経理・生産管理などの業務部門からの要件がまとまらず、 パッケージへの追加機能が膨大な量になっていきました。 当時、日本のシステム会社ではよくあることでした。 要望をまとめるだけで、1年以上かかる。しかも、システムの開発要件決定の前で、1年以上もかかっている。 20年後、日本では、この時代のことを「失われた20年」と呼ぶようになります。 ・日本のITリテラシーの低さ、 ・要望を伝えれば、どんな要望も実現されべきという幻想、 ・進んだシステムに古い業務を修正しない頭のカタサ 1年かかってまとめた要望で見積もりを出してもらったところ、結果的に当初の予算の3倍ほどかかる見込みとなってしまいました。 私としては、そりゃそうだろ、と。 もはや、パッケージされたシステムではなく、イチから新規作成したシステムでしかないのだから。 私が落胆させたのは、この後、 営業・経理・生産管理などの業務部門が変えるのも無理、と言ってきたことでした。 しまいには、最初の見積額で作らせろ、と言ってきた。 この会社はダメだ。終わっている。 なぜ、3倍の見積もりになったのか、わかっていない。 この会社で変えるべきなのは、システムではない、システムに対する理解でした。 当然、システムと業務の折り合いがつかないため、システム要件定義など中止になりました。 もともと私は、プロジェクト自体の納期やコンセプト、予算に無理があると、開始前より反対していた立場であり、上記のような結果になり、現場に嫌気がさして退職することとなりました。 言わずもがな、日本もこの会社も、IT後進国、ITリテラシーの低い会社として、凋落していくことなります。 私自身も、この一件で見限り、退職を決意しました。
3:この記事にたどり着いた方へアドバイス
退職後はコンサルとして、上記の経験を生かして、確実な提案とシステム導入を推進する立場で働いており、毎日が充実しています。 やはり、ITに業務を合わせることを理解している会社は、大きく伸びていきました。 逆に、前会社のように、IT "を" 業務に合わせる仕組みを推し進めた、遅れた会社は凋落、消滅していきました。 "新しい"ITを"遅れている"業務に合わせる、という逆行している限り、世界に勝てなくなるのは必然です。 あなたの会社は、"終わっていませんか"? まだ、要件定義書を紙で出していませんか? エビデンスを紙出しして、提出してませんか? 検証印鑑や赤ペンでレ点などを打っていませんか? 世界で検証を紙出しして、赤ペンで打っている企業は、日本にしかありません。 世界の企業は開発をしながら、ユーザーから不具合を拾いとる仕組みを作って対応しています。 いつまでも深夜まで残業しているのは、そんな非効率な作業があるからですよね? あなたは、まだ、失われた20年の仕事を続けるつもりですか? もし、不毛で終わらないデスマーチのようなプロジェクトに参加され、嫌気がさしている人がいましたら、キッパリと退職をし、その経験を生かしてデスマーチの起こらない案件を提案する側で働くことをおすすめします。